いつもの心掛け

　介護職になる前にボランティアを行っていた事があります。

末期の肺がんの方の話し相手として、その当時英語の勉強をしていたことから、語学力を伸ばしたいとの安易な考えでホストファミリーの紹介より行いました。

その人はやせており、身体を動かすのも容易ではなく、酸素を24時間吸入器にて供給しモルヒネを投与していました。痛みとの兼ね合いで幻覚やその他の症状が出ることはあるが、基本的には食事・運動以外何も病気になる前と変わりないとおっしゃっていました。日本の事や街の事、分からない単語や食べ物の事、音楽の話をしていたのを覚えています。

ある日、訪問すると、少し薬が切れかかったのか苦しそうにしており家の人もいない中、とっさに背中をさすると安心したのか、『痛みが少し無くなった。こんな時は他人でも、母親が子供にするように優しくやってくれるとありがたいね。サンキュウー』とおっしゃっていただきました。

その後、30分ほどすると娘さんが戻り、薬を投与し痛みが無くなったみたいでした。

その時ご本人、娘さんと少し会話をすると、『TO　NURSE（介護、看護）とは自分の親にしてもらいたくない、子供にしてもらいたくないことをすべきではないよ』と優しくおっしゃっていました。

介護職として基本にあることはこのことだと思っています。

Ｂ・Ｉ